失敗の連続子ども体験教室(II)
杉本玲子(町田クリスチャンセンター教育主事・聖契神学校教師)
前回に引き続いて、土曜日の子ども体験教室のプログラムの失敗をご紹介したいと思います。
事前準備と事後整理について
特に2学期は、学校行事とかち合うことも多く、出席人数が読めないのが困りました。前週と大体同じ人数分を用意したら、2倍位来て材料が足りなくなり、あわててスタッフが買いに走ったこともあります。また、多目に用意していたら、出席人数が非常に少なく、余った材料を買い取ってもらえないかと、レシートを手に交渉に行ったこともあります。なるべく返品が可能な所で買うこと、信仰を持って多目に用意すること、買う前に在庫をチェックしていくこと等を教えられました。
文房具の準備について
あてにしていたボンドが渇いていて使えなかったり、マジックがかすれて出なかったり、左利きの子どもが来たのに、右利き用のはさみしかなくて困ったり、カッターが切れなくなっていたりなどの失敗も多くありました。大丈夫だと思っても、前もって文房具をダブルチェックして、使えない物は捨てて、新しい物をその都度補充しておく等の大切さを感じています。油性のマジックの跡がテーブルに残らないよう、溶剤も役立っています。
子どもとの接し方について
日曜日のプログラムは、参加者がクリスチャンホームのご家族中心で、注意すると聞いてくれるのですが、地域の子どもたちの中には、全然言うことを聞かない子どももいました。アメリカ人宣教師が担当した時、日本語のアクセントが少し違っていて、子どもたちが笑い出したことがありました。すると、宣教師は、馬鹿にされたと受け取り、真剣になって怒り出しました。その時は、空気が凍りついたようになり、コミュニケーションの難しさを感じました。
また、地域から来ている子どもたちをお客様のように扱う傾向があり、言うことを聞かなくても注意できないことが多くありました。「注意したら、次回来てくれなくなるかも」と遠慮してしまったのですが、そうするとすぐ雰囲気がだらけて、全体ががやがやしてしまうので、指示に従わない子どもには注意を促して、きちんとした雰囲気を保つことの大切さを感じました。
料理プログラムについて
以前、調布市の小学校で、アレルギーを知らないで子どもに給食を食べさせ、ショックでなくなったという事件がありました。料理教室は毎回人気なのですが、以前スイーツを作った時に、「卵食べられない」「小麦粉アレルギーが出る」と言う子どもがいて、対応に困ったことがあります。また、好き嫌いも多く、「○○食べられな~い」のように言われることもしばしばです。それで、洗って切るところまでは3~4人のグループでやって、それ以後は、ビュッフェのように、好きな物を選んで作って、自分の作ったものを自分が食べるようにしました。また、なるべく2種類以上のメニューにして、(肉餃子と海鮮餃子など)どちらかだけでも食べられるように工夫する必要があることがわかりました。
手芸プログラムについて
手芸プログラムは、針に糸を通すのにも時間がかかり、玉止めや玉結びもうまくいかず、途中で糸が抜けたり、糸がこんがらがってやり直しになったり…と毎回苦しんでいます。縫う所を少なくして、アイロンでつけられるアップリケを使ったり等工夫しているのですが、それにしても幼児にはハードルが高く、針がなくなってあわてて探したりして、10cm縫うのにも、大変な時間がかかる子どももいます。小さい子どもには、縫い目を1cm以上にするなど、ざっくり進める必要性を感じました。それでも終わらなかった子どもたちは、仕上げ方の紙を入れて、持ち帰りにしました。手芸プログラムの時は、特に幼児がいる時は、アシスタントがつくか、お母さんにも付き添っていただいた方が安心だと思います。また、早い子どもと遅い子どもの差がかなり大きいので、足並みをそろえて説明しようとしたら、終了できませんでした。作り方の紙を用意して、工程ごとにわかりやすく図を描かないとダメだということがわかりました。でも、低学年児が家や学校でやらない体験をさせてあげると、保護者の方々からは喜ばれました。
外遊びプログラムについて
近くの公園で、ドッチボールとか鬼ごっことか、簡単なルールのある遊びをしたこともあります。でも、幼児や低学年の子どもなど、つまらなくなって勝手にやめてしまう子どもが結構いて、誰がやっているのか、誰がやめたのかわからず、チームの人数も変わってしまい、混乱状態になったことがありました。もともと同じ学校の同じクラスの子ども同志での遊びでなく、学校も学年も違う子ども同志、名前も知らない友だちと集団ゲームをする場合、いきなり「さあ遊ぼう」ではダメで、遊びに導くまでのプロセスがかなり難しいことがわかりました。経験のあるスタッフがリードすると楽しく盛り上がるのに、未熟なスタッフがリードすると混乱状態となり、全体の遊びをまとめていくのは、本当に難しいことを実感しました。何人かの補助スタッフが、遊びたくない子どもたちと一緒にいてあげないと難しいと気づきました。また、「のど渇いた」「トイレ」と言って、スタッフと一緒にその場を離れる場合もあり、スタッフの数も必要でした。飲み物やコップ、スペアのボール、バンドエイドなど、念入りの準備も必要だと感じました。雨の場合に備えて、別プログラムを用意しておくとあわてなくてすみます。
ミュージックベル
クリスマス会にミュージックベルをしようとチャレンジした時は、特に大変でした。それぞれの子どもに音を割り振っても、毎週参加者が変わり、スタッフも頭をかかえました。幼児は楽譜が読めないので、色で覚えてもらいました。上級生には、休んだ友だちのカバーをお願いしました。みんなで心を合わせよう!と、繰り返し練習しましたが、達成感はものすごく大きかったと思います。クリスマス会の演奏が終わった時、スタッフの目に涙が光っていました。
次回は体験教室のチャペルタイムでの失敗をご紹介したいと思います。
(聖書の光 176号)