今回は、チャレンジあふれる子ども英会話伝道についてまとめさせていただきます。個人的にも、一般家庭に生まれた私が、教会に導かれた最初のきっかけは、神学校で開かれていた子ども英語教室でした。だから、子ども英会話については、ずっと願いを持っていました。
町田クリスチャンセンターでは、私たちが赴任して24年目になりますが、私の記憶している限り、現在まで13人の宣教師によって働きが続けられています。その方々は全員アメリカ人です。その中で、滞在が1年以内の短期宣教師が7人で、うち4人は大学生で、2人ずつ大学を半年から一年間休学して奉仕してくれました。長期宣教師が6人で、うち4人はアメリカでの仕事を退職後、語学教師として宣教に来てくれました。いわゆるキャリア宣教師は1人もいません。長期宣教師の平均の滞在年数は三年で、最長の宣教師が現在のG先生です。(4年めで、3か月後には帰国する予定です。)
さて、宣教師の招聘に関してですが、最初は個人的なつながりを通し、親しくさせていただいているアメリカの教会から、ミッションの気持ちをもった学生を送っていただくというスタイルでした。その後、宣教団体から送っていただく形に変わりました。しばらく、宣教師が与えられない時期もありましたが、町田で英語教師をしておられるアメリカ人ご夫妻が、バイリンガル礼拝に出席されたのをきっかけに、協力宣教師として英会話伝道に協力を申し出てくださったこともありました。
子ども英会話教室に話を戻すと、13人の中で初めて本格的に子ども英会話クラスを持ってくださったのは、女性のA先生でした。A先のスタイルは、体験中心型で、最初に英語ゲームやパズルなど、楽しい活動を中心にレッスンを進めていく流れでした。英語のビンゴゲームやボードゲームなどが用意され、勉強というより、遊びの感覚を通して子どもを引き込んでいきました。その後、お互い同志、また教師と子どもたちの日常会話が続きました。チャペルタイムは、日本語スタッフが五分間メッセージをしました。地域の小学生が数人喜んで参加していたことを思い出します。
ところで、その後来られた男性の先生は、会社で技術系の仕事をしておられた方で、「大人に英語を教えられるが、子どもは苦手」ということで、子どもクラスは中止になってしまいました。日本人スタッフによる継続は、ハードルが高すぎて断念しました。英会話に来ていた子どもたちを教会学校のイベントなどに誘いましたが、もともと参加者の目的が、教会でネイティブスピーカーから英語を学びたい、ということなので、一人も教会につながりませんでした。
数年後に来られた女性のL先生は、子ども伝道に重荷を持っておられる先生でしたが、英語の指導法は、A先生と全く違いました。アメリカで用いられている体系的なフォニックスという指導法で、発音とリーディングが中心でした。ゼロからの生徒募集でしたが、「フォニックスを使った体系的な指導」と案内すると、短期間に新しい参加者が与えられました。ほぼ全員が地域の子どもたちで、保護者が英語教育に大きな期待と関心を持っていることを実感しました。英語を全然読めなかった子どもたちが、すぐに初めての単語でもすらすら読めるようになるのには、驚きました。レッスン後には、工作やお菓子作りを取り入れて、子どもたちを楽しませてくださいました。L先生は、日本語もできたので、日本語でチャペルタイムも担当してくださいました。けれどもL先生が帰国されると、宣教師不在の時期が続きました。その間、やはり子どもたちは教会につながることはありませんでした。
次に来られた宣教師は中学生以上ならOKということで、ティーンズクラスを開いてくださいました。子ども英会話クラスは、現在に至るまでストップしたままです。
同じ町田市内にあるA教会では、子ども英会話伝道のビジョンを持っておられる女性のキャリア宣教師を中心に、子ども英会話クラスが盛んで、六十人位の生徒がいて、二十年位継続しているように聞いています。そういう話を聞くと、すばらしいと思うのですが、それぞれの宣教師に与えられているビジョンと賜物が違うので、比較することはできないと思います。
子ども英会話クラスを通して教えられたことは次の通りです。
- 経済的な状況により、日本に宣教師を送ることが困難になっている中、継続的に宣教師を送っていただくことが困難である。特にキャリア宣教師を探すのは大変難しく、本格的に英会話伝道を継続するのは、簡単ではない。
- 小学校での英語必修化に伴い、保護者の関心は益々深まっている。最近ではゼロ歳からの英会話など、都内ではどんどん専門化、差別化が進んでいて、要求されるクオリティも高くなっている。英会話クラスも、どういう目的で何を教えるのか、宣教師のスキルや賜物と合わせて、細かく計画する必要がある。
- 宣教師の年代や賜物、ビジョンにより、働きの種類が大きく変わってくる。MCCでも、高校生・学生グループのリーダーとして用いられた宣教師、婦人伝道に用いられた宣教師、病院訪問や障碍者ケアなどに用いられた宣教師、ネパール短期宣教旅行の引率など宣教に用いられた宣教師、バイリンガル礼拝での説教に用いられた宣教師、アルファコースなど個人伝道で用いられた宣教師など、様々であった。教会のビジョンに宣教師を合わせようとしても、短期~中期宣教師の場合は困難である。宣教師の賜物に合わせた教会運営が望ましい。
- 英会話教室は、どうしても宣教師にお任せになりやすいが、宣教師と日本人スタッフの日頃の交わりと祈りが何よりも大切である。みんなで宣教師をサポートしていきたい。
- 英会話伝道の成果をまとめてみると、イエス様を信じるお祈りをした小学生が五人以上与えられたが、教会にはつながっていない。また、教会学校から離れていた中高生が、英会話をきっかけに教会に戻ってきた例が二件あった。さらに宣教師を食事に招いて、個人的な交流を通して信徒の家族が救われたこともあった。その他、英会話を通して救われて、通信制神学校に通いながら故郷で教会学校を立ち上げた方、海外の神学校を卒業後、海外で宣教している方、救われて国際援助団体で仕事をしている方など、豊かな実を結んでいることに気が付かされる。
英会話伝道については、目の前のクラスの継続のために祈るのはもちろんのこと、教会全体の伝道の一環として、長い目で見て祈り続ける必要があることを覚えています。
(聖書の光174号)