今日、まとめたいテーマは、中学生を対象とした英数教室についてです。スタートしたのは、十数年も前のことでした。英数教室を始めたきっかけは、CSの小学生が中学になると部活や塾で中々教会に来なくなってしまう、何とかしたい、という課題からでした。教会で部活といっても中々難しいが、教会で個人塾のような形で、中学生の勉強を有料で教えることによって、教会と中学生の距離が少しでも縮まってほしい、というのが願いでした。

ちょうど、アメリカに留学していたクリスチャンの姉妹が帰国し、地域のユースに対するビジョンを共有してくれました。それで教室立ち上げの準備を経て、「MCC英数教室」としてスタートしました。教科を英語と数学にしぼったのは、スタッフが1人の小さな個人塾なので、科目数を増やすのは難しく、高校受験なら英語と数学が勉強の中心になるし、スタッフの姉妹が英語と数学が得意ということで、英数教室とすることになりました。

勉強のスタイルとしては、1対1で、講義形式でなく、家庭教師のようなアットホームな雰囲気で、基本的に生徒が教材を持って来て、わからない所を聞くというスタイルでした。時には、スタッフが様々な参考書を参考に独自の教材を作成することもありましたが、オリジナル教材作成にはものすごい時間と手間がかかったため、受験用参考書を使用することにしました。

伝道面ではどうしようか、とも考えたのですが、中学生が対象で、1対1のチャペルタイムと言っても進め方が難しいので、伝道メッセージをするのではなく、教会のイベントの紹介などにとどめました。基本的に、スタッフと中学生が仲よくなって、気軽な相談相手になれるように、教会の敷居が低くなるように、ということを目指しました。

宣伝は、まだホームページがなかったので、ちらしが主でした。大々的な宣伝というより、口コミが中心で、教会学校に来ていた小学生が中学になっても続けてくれるように、個人的に案内しました。学習レベル的には補習塾の水準だったと思います。受験塾のいわゆる受験テクニックを身につけることを目標としたのではなく、気軽に質問して、勉強が好きになって、学習理解と意欲が向上することを目指しました。

経済的には、1時間1000円程度で、1回約2時間の学習時間を1コマとし、週1回か2回かを選択できるようにし、学期制で授業料を払っていただきました。授業料はそのまま謝礼としてスタッフの姉妹にお渡ししました。

生徒数は、常時数人で、正直、そんなに多く増えることはなかったと思います。当時の一般の塾より授業料を抑え目に設定したのですが、やはり受験のノウハウをもった大手の塾とは規模も違い、対抗することは困難でした。また、中学生は友人と同じ塾に通うというケースがほとんで、教会に勉強を習いに来ると言う発想が、そんなに一般的に受け入れられなかったと思います。

また、英数教室に来てくれた中学生が教会の礼拝やCSと結びついたかと言えば、はっきりと結果は出ませんでした。中学生にしてみれば、勉強をしに教会に来ているので、一緒に祈ったり、聖書を読んだりということはできず、唯一できたことは、スタッフが暖かく声をかけ、励まし続けることでした。

ところで、この英数教室は、残念ながら1年以内で終了してしまいました。その理由は、スタッフの姉妹が他教会の兄弟と結婚に導かれ、相手の方の教会に導かれたからです。英数教室は、姉妹が1人で担当していて、後継者も見つからず、継続することはできませんでした。今思うと、教会側のサポートが不足していて、せっかくスタートした良い働きの実を見るまでに至らなかったことは残念だったと思います。

では、この働きが無駄だったかというと、それは主のみがご存知です。その姉妹は現在、大きく祝福されている海外の教会で、ユースパスターの夫人として、主に仕えておられます。英数教室は、姉妹が教会のミニストリーに献身し、その第一歩を踏み出した貴重な働きでした。その後も、教会から多くの献身者が起こされたことを考えると、私たちにとっての大きな励ましになってくれたことを感謝しています。また、後日、宣教師による英会話教室のティーンズクラスもスタートして、現在に至っています。

 

 伝道・宣教・ミニストリーはダイナミックで、神様の御心と共に生まれ、神様の御心の中に使命を終えて閉じられます。全てのミニストリーが長い間続くことが主の御心ではないかもしれないし、短期間で終わったから失敗というわけでもありません。今、振り返ってみて、英数教室から教えられたことは、次のとおりです。

 

  • 教会の働きは、担当者の祈りとビジョンの中に始められるが、教会全体で、そのミニストリーを祈ってサポートする体制が必要であること。
  • 新しいミニストリーの場合、小さくスタートして、一歩一歩導きを待ち望み、前進していくこと。過去の結果にとらわれず、新しい事にもチャレンジしていくこと。
  • 中高生の場合、小学生対象のイベントのように、地域の中高生が初めて参加してくれる機会は多くない。バンドやライブ、英会話教室、キャンプなどは一般的であるが、それだけに限らず、1回でも教会に来たことのある小学生が、中高生になってもつながり続けるように、6年生の卒業前が重要であること。
  • 中高生の場合、何かのイベントを企画するより、誕生カードや入学祝いカード、年賀状やメールなど、日頃からのつながりを深めることが大切なこと。また、文化祭や体育祭を見に行ったり、部活の試合を応援に行ったりなど、教会外での個人的なサポートが大切なこと。

 

 このように、過去の奉仕を通して、多くの貴重なことを教えられたことを感謝しています。

(聖書の光169号)

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