今回のテーマは、土曜日に持たれている子ども体験教室です。日曜日のプログラムは、礼拝形式で、参加者はクリスチャンホームのご家族が中心になるので、地域に向けたプログラムを、ということで子ども体験教室を始めたのは、2002年、学校が週休二日制になって、土曜日が休みになった年でした。当初は、夏・冬・春の長期休暇を除く毎週土曜日、午後一時から四時半までのプログラムを持っていました。
体験教室ということで、最初に考えたのは、学校や塾や習い事の教室ではできないことをしたいということでした。しかも、ただのゲームや楽しいことだけでなく、地域の保護者の方々が喜んで子どもたちを連れて来てくださるような「質の高い体験教室」を提供できないだろうか。
小学生の塾や習い事を調べて見ると、勉強やスポーツ、音楽に偏っていることがわかりました。それで体験教室では、一つの内容に偏らないで、様々な分野にチャレンジして、子どもたちの全人格的な成長を目指したい、と方針が決まりました。そして、チャペルタイムでは、賛美やゲーム、祈り、暗唱聖句、メッセージを通して、救いに導きたい…段々とイメージが固まっていきました。
大きな柱として、クッキング、アート(絵・工作)、スポーツ、クラフト(手芸)を軸として、それ以外に理科実験、昔の遊び、遠足、音楽などを取り入れることが決まりました。一人の人が全ての指導をするのは不可能ですから、教会の色々な人に講師になってもらって、色んな体験に挑戦することにしました。
さて、最初の失敗は、有料でスタートしたことでした。意気込みとしては、「ただより怖いものはない」ということで、教育に対する意識の高い保護者の方に、有料の方が安心していただけるのでは、と考えたこと、また、1回限りでなく続けて来ていただきたいということで1学期(約十回)六千円にさせていただきました。結果として、確かに教育に対する意識の高いご家庭が続けて子どもを送ってくださったのですが、参加者が、比較的恵まれている家庭環境にある子どもたちが中心になりました。それでは、伝道目的を達しているとは言えないのでは、ということで、参加無料、チャペルタイムで自由献金という形に途中から変更しました。教会の年間予算に、体験教室のための予算を取っていただくことにしました。すると、参加者が気軽にお友だちを誘ってくるようになり、参加者の幅は広がったのですが、メニューを選ぶ人も増え、毎週の参加者数の予想がつきにくくなりました。
次の失敗は、チャペルタイムの後に二部として、国語算数の勉強コースを付け加えたことでした。幼児教室や塾で教えたことのあるスタッフが数名いたので、「それも取り入れよう」と考えたのですが、結果的に言うと、体験教室の目的が見えにくくなり、また多くの準備が必要になって、伝道に集中できにくくなってしまいました。数年後、学習プログラムをカットして、全体の時間を三時間半から三時間に縮小したのですが、幼児の体力を考えると、三時間半は長すぎたと思います。
また、第一週クッキング、第二週スポーツ、などのように、最初に固定メニューを決めて、それに合った担当者を探そうとしたことも困難な課題でした。理想的には、毎月のメニューが固定していた方が参加者にとって便利なのかもしれませんが、限られている教会員の中で、奉仕をしてくれる人を毎週探すのは、とても困難でした。むしろ、メニューの枠を制限しないで、講師の方に適当なメニューを提案していただく方が、スムーズでした。
さらに、「老人ホームボランティア体験」「手話体験」「星野冨弘美術展見学」など、内容にこだわりをこめてメニューを作成したこともありましたが、参加者は余り多くありませんでした。対象が地域の子どもたちなので、子どもたちが「行きたい」と思わないと、来ていただけないという現実を痛感しました。子どもたちのニーズに敏感である必要性を感じました。
奉仕者への配慮の必要性も感じました。多くの奉仕者の方々は、週日に仕事をして、日曜日は礼拝に出席しておられるので、土曜日も教会奉仕となると、家族、また生活のための時間が取れなくなる、それが大きな壁だったと思います。教会では、同じ人に奉仕が集中しがちですが、負担になり過ぎないような配慮が必要であることも失敗を通して教えられました。「奉仕が大変だから、月に一度にしたら…」という意見も出てきて、土曜プログラムを続ける困難さも体験しました。
また、土曜日に小学校の授業参観や学芸会、子ども祭りなどのイベントが増えてきて、準備して待っていても、参加者がゼロという週も、十二年間で三回ありました。その日は、奉仕者の祈りの日、特別な交わりの時となったのですが、一つの学校だけを対象とすると、土曜日のイベントの影響が大きいので、教会の周り、半径二キロ以内の小学校を対象としてちらし配りを継続的に行なうことにしました。すると、一つの学校のイベントと重なっても、他の学校の子どもたちが来てくれるようになって、参加者の幅が広がっていったと思います。結果的に七つの小学校の校門前で、放課後ちらし配りをすることにしたのですが、ちらし配りの間隔が短くなると、「いらない」と拒否される率が上がるので、忘れた頃に配るくらいがちょうどよいのかもしれません。
さらに、参加者の数が読めない、というのは、講師に依頼する時の大きな壁だと思います。毎週、祈ってできる限りの準備をするのですが、少ない時は、参加者が一人、二人、三人という日もありました。もちろん用意していただいた材料を次回活用するなど、工夫はするのですが、奉仕者のモチベーションが下がってしまうことも少なからずありました。開拓教会のCSを覚えながら、子どもたちが大勢来て当たり前、という感覚でなく、「〇〇が来てくれるのは今日が最後かもしれない」という緊張感を持って、奉仕を続けさせていただきたいと思います。
参考までに2013年のメニューは、エコバック(スタンプ)、チヂミ、マグネット、ロープ人形、手作りチョコ、キーホルダー、キャンドル、どら焼き、横浜科学館、貯金箱、チーズフォンデュー、キャンプ、刺し子、カルメ焼き、ブックカバー、ザリガニ取り、飛び出すカード、万華鏡、フルーツサラダ、モビール、夏祭り、ズーラシアです。次回は、一回のプログラムの流れの中での課題を、続けてご紹介したいと思います。
(聖書の光 175号)