先日12日間ほどアメリカの幾つかの教会を訪問し、主に教会教育を見学させていただく機会がありました。その中から、特に教えられた3つの教会をご紹介したいと思います。

―ウィロークリーク教会―

1.ウィロークリーク教会の歴史と特徴

ウィロークリーク教会については、「教会の再発見」リン&ビル・ハイベルズ著(いのちのことば社)の中でくわしく紹介されています。1972年、ハイベルズはシカゴ郊外で高校生会リーダーとして働きを開始し、わずか数人のグループから、2年間で千人以上集まる集会へと爆発的な成長を経験しました。当時の典型的なユースグループの形にこだわらず、オリンピック形式のエネルギッシュなゲーム、バンドの伴奏によるゴスペルミュージック、興味を引き付けるスキット(寸劇)、パソコンによるプレゼンテーションなどを駆使して、教会に足を踏み入れたことのない一般の高校生にどうしたらアピールできるか、若いスタッフと知恵をしぼった結果でした。その時救われた若い世代を中心に劇場を借りて開拓を始めてできたのがウィロークリーク教会です。

ターゲットを全く教会に行ったことのない若い世代にしぼり、毎日曜日を伝道集会と位置付け、彼らの必要に合ったメッセージを斬新なアプローチとハイテクを駆使して提供し続けた結果、アメリカ最大級の福音的な教会の一つにまで成長しました。日本でも日経新聞に「メガチャーチ」として取り上げられ、話題になりました。現在は、土曜夕6時からの一般向け礼拝、同じく6時からの学生・青年礼拝、日曜朝9時からの一般向け礼拝、同じく11時15分からの学生・青年礼拝と合わせて、合計約1万5千人ほどが礼拝を守っています。アプローチは斬新ですが、メッセージそのものはごくオーソドックスで、若い世代の誰もが体験する「プライド」「デート」「性」「妊娠」などの問題に対して、どのように対処するかという聖書の適用が重視されています。

また、奉仕者が子どものことを心配なく奉仕できるように、月曜日から金曜日まで朝8時15分から毎日奉仕者のための育児サポート(保育園)が教会内で持たれていて、0歳から5歳児までの子どものケアが行き届いています。しかも単なるベビーシッターではなく、年齢ごとに5つの部屋に分かれて1日の保育プログラムがきちんと持たれています。さらに、集会に子ども連れで出席する家族や奉仕者が外食しなくてもいいように、教会でセルフサービスの食事ができるレストランがあって、毎日日替わりメニューが用意されています。しかもそのメニューが何日も前からインターネットで検索できるという徹底ぶりです。こういうことは日本の教会では真似できないことですが、奉仕者と奉仕者の子どもたちを大事にして初めて伝道が進むというスピリットは真似できるように思います。日曜日には朝の4時から全部で58の集会や奉仕が持たれていましたが、そのうちの22が子どもの集会で、しかも一つを除いて全部が午後2時までには終わっていて、家族の時間が大切にされていることも感じました。

 

2.ウィロークリーク教会の教会学校

 ウィロークリーク教会では、3回の礼拝と並行してプロミスランドと呼ばれる教会学校が0歳から小学5年生までを対象として開かれています。日曜日には年齢ごとに21のクラスに分かれていました。賛美、劇、体験学習、パペットショー(幼児)などを盛り込んだ楽しいプログラムです。

見学させていただいた小学校2-3年生のメッセージは、広い部屋に6個所のコーナーがあって、それぞれのコーナーごとに2人くらいのメッセンジャーが登場して対話形式で語りかけるというものでした。そのコーナーは確か、天地創造コーナー、エデンの園の堕落コーナー、イエス・キリストの誕生コーナー、十字架コーナー、復活コーナー、そして最後の審判コーナーだったと思います。メッセージははっきりと覚えていないのですが、想像も交えて日本語に置き換えてみると、「(釘とか鞭とかを手にして)ひどいわ、どうして何も悪いことをしていなかったジーザスが、こんな野蛮な方法で死ななければならなかったの」「それは君のせいだよ」「何それ?あなたけんかうっているわけ?」「ちがうよ、それはさ…」のようなニュアンスだったと思います。つまり二人が普通の会話をしていく中で、神・罪・救いという基本的なことが説明されていくわけです。子どもは、いつも同じ方向を見るのでなく、向きを変えながら六個所のコーナーを見ていくわけですが、コーナーごとに大きな(2m×2m程度の)シンボル(絵)がかかっていて、興味をそそられます。最後のコーナーでは、それぞれのスモールグループのリーダーと一緒に祈ろうと招きもなされていました。2-3年生全体で200人位はいたと思いますが、10人位のスモールグループが前もって決まっていて、その場でそれぞれが祈っていました。(年齢別にクラスに分かれ、そのクラスの中でさらにスモールグループに分かれているわけです)  

 

3.教会学校の奉仕者

 これだけ大勢の子どもたちがいて、週に3回も教会学校があって、しかもたくさんのクラス・グループに分かれているとなると、一体誰が奉仕をしているのだろう…と思うのですが、ヘルパーは中学生のうちから募集されていました。奉仕者申し込み用紙があったのですが、その内容の一部を紹介します。

また、ヘルパーとなるための申し込み書もあって、子どもに仕えること / 責任を持つこと / 休む時には連絡すること / 主に対する態度で接すること / 研修会等に出席し、向上に努めること / リーダーの指示に謙虚に従うこと等の条項を約束することに署名をもって同意し、保護者とリーダーのサインを沿えて申し込むというシステムになっていました。日本ではせいぜい教師かヘルパーか奏楽者くらいの奉仕しかないし、毎週の奉仕が大前提になっていますが、こういう方法だと、1か月に1時間から、クリスチャンになったばかりの人でも無理なく教会学校の奉仕に参加できるな、と感動を覚えました。この原則は教会学校だけでなく、その他どんな奉仕にも共通してみられました。大きな教会を支える秘訣は、奉仕者の裾野をこんなに広げることなのか、と気付いた瞬間でした。

 

4.教会学校資料

* 毎週平均出席子ども 3000人以上

* スモールグループに登録されている子ども  5300人以上

* 月に一度以上奉仕している奉仕者  1250人以上

* 6週間に1度のローテーションでヘルパーをしている保護者 800人以上

* 中学生のヘルパー 400人以上

* 毎週の必要な奉仕者 600人以上   

* 子どもと奉仕者の割合

   ベビー 2:1  1歳児 4:1

   2歳児 6:1  3-5歳 8:1

   幼稚園児―小学生 10:1

* 教会学校担当教会スタッフ  フルタイム30人 パートタイム30人

* 去年一年間でイエス様を信じた子ども 590人 

                     (聖書の光137号から抜粋)

(2004年5月発行No.31掲載)

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