- 伝道と共に教会教育を充実させたい
教会教育という面で心がけていることは、クリスチャン人生の「行き先」あるいは「方向」を、個人としても教会としてもはっきりと展望出来るようにすることです。
思うに、日本の教会は、伝道に熱心な割には、教会教育に行き届かない傾向があるように感じます。「どうすれば救われるか」については明確な答を差し出しますが、では「救われた後、どのようにクリスチャンとしての生涯を全うするか」については、なかなか教えてくれないように思うのです。クリスチャンとなった者がこの世で、具体的には主婦として、サラリーマンとして、学生として、その他それぞれの持ち場で、どのように神の民本来の生き方を貫けるのか。異教社会の日本で、日々価値観の矛盾に悩みながら生きる信徒の必要に応える教育がなければ、多くの信徒が教会から離れる結果を招くと思います。あるいはそこまで手が回らないのが、規模の小さな日本の教会の実情かも知れません。しかし伝道と教育は車の両輪でしょう。教会教育が充実してこそ、教育的伝道が実りもするし、その実が残るのであって、伝道のみに偏ると、いわゆるザルで水をすくうようなことになる危険があります。クリスチャンになった のは「スタート」ですと言葉で言うだけでなく、更にこのように学び、成長し、このゴールを目指して進み、そこで必要となる聖書的世界観・人生観・歴史観・価値観をしっかり身につけ、神様が用意しておられる祝福と喜びに溢れた人生を具体的に経験 して行きましょうという、行き先・方向を明らかに展望しての毎年の歩みを重ねて行 きたいと努めています。
- 理念とビジョンの共有
私が多磨教会に赴任して5年目、教会の35周年を機に、それまで話し合って来た教 会の理念やビジョンを文章化して採択しました。以後は、それに沿っての教会形成・教育に取り組んでいます。
「多磨教会の理念」の項目には、「教会の本質」「信仰の立脚点」「教会の運営形態」「教会活動の目的」に続いて、「信徒の歩み」として、「イエス・キリストが自分の罪のために十字架にかかり復活した『救い主』であると信頼して生きようとする人は、誰でも皆神の赦しを受けて永遠の命を頂いた兄弟姉妹・神の家族として受け入れられます。信徒は共に神を見上げて、クリスチャンとしての成長・成熟の歩みを目指します」と掲げました。
この基本的理念を受けて、多磨教会が具体的に取り組むことを大項目で5つ、その具体策として15項目をあげ、教会が神の家族として一つになって歩むべき方向性を明らかにしています。また、信徒一人一人が取り組んで行くこととしては、以下のように、10のポイントを上げました。
「一人一人が取り組んで行くこと」
多磨教会員は、・・・
《スタート》
(1)礼拝:神と人と交わる礼拝を大切に守ります
誰もが、楽しさと安らぎと喜びの礼拝に生かされる歩みを目指します。
(2)人間関係:神の家族としてのお互いを大切にします
赦しと感謝と祈りに根ざす神の家族として共に生きる歩みを目指します。
(3)成長:生涯自分の賜物を活かして成長し続けます
神様が与えて下さった人生の幸いが最高に味わえるように、神様との交わり・人との交わり・教会での学びに養われて、新たな高み・深みへの成長を目指します。
《継続》
(4)聖化:神様の御心にかなった歩みを求め続けます
毎日のディボーションや、祈祷会・研修会等の集会を大切にし、罪を悔い改めて赦しを味わい、神の民にふさわしい歩みを目指します。
(5)証し:神様の素晴らしさを隣人に証しして分かち合います
私達と共に生きておられる神様を体験し、教会の場などで神様の真実を言葉と行いをもって証しすることを目指します。
(6)奉仕&社会的使命:教会内外での使命を果たします
神の召命に応えて、賜物を活かして教会内外の遣わされた場で意義ある奉仕と仕事をなし、この世に神の国の祝福を広げることを目指します。
《結実》
(7)献身:神様に自分の最善を献げます
全てを与えて下さった神様に、私達の最善を喜んでお献げすることを目指します。
(8)伝道:全世界に福音を伝える働きに参加します
地域に根を下ろしつつ、日本宣教・世界宣教にも参加することを目指します。
(9)霊性:自分の全存在が福音に活かされることを目指します
神を知り自分を知ることを通して、神との一致・人との一致を深め、いつでもどこでも本当のクリスチャンとして生きることを目指します。
《ゴール》
(10)目標:私達の究極の目標は、イエス・キリストの似姿です
ここに、私達がクリスチャンとして、どのように地上の歩みを進めて行くか、進む べき方向性を明らかにし、共有しようとしているわけです。数字は羅列ではなく、順 番も意識しています。全体像がわかりやすいように図化しました。<図参照>
毎年の取り組みとして、その年ごとに2~3項目ずつを重点的に取り組むテーマと しています。今年2004年で言えば、8~10に取り組みました。来年また1に戻ります。 1サイクルを3年とし、2サイクルを経たら、7年目は「安息年」とする計画です。 (2001年を「21世紀最初の年」と意識し、週の初めの日が安息日であるように世紀の 初めを安息年として、この取り組みを始めました)
8~10をテーマとした今年は、全体を統一する教会の年間標語を「新しい人として生きる」としました。このテーマに従って、新年礼拝から始まり、教会の創立記念日、また秋の信徒研修会、毎月一回礼拝後に持たれる「成人クラス」等が有機的に関連し て、「イエス・キリストの似姿」を目指す私達の霊性(クリスチャンとしての存在のあり方)を学んで行くように試みています。来年は2サイクル目、また基本に戻って 「礼拝の充実(1)」や「和解に基づく人間関係の確認(2)」といった所にテーマを定めて行くことになるでしょう。
- 充実を目指して
以上のような基本的な道筋が見えるようにすると共に、その取り組みが充実することを具体的目標を掲げて目指し取り組んでいます。一つは、教育主事を迎えることを 目指して積立等の準備を始めました。もう一つは、教会教育にも用いられるスペースの拡大を計画しています。三つ目は、教育のための提供内容の充実刷新を話し合っています。理想を思えばいまだ道遠しですが、皆が同じ方向を目指し、同じ神様に導かれて祈りを合わせて進む姿に、教会の尊さを感じて感謝しています。
(2004年12月発行 レインボーNo.32掲載)