クリスチャンの親ならおそらくだれでも悩む性教育。でも心には思いながらも実際に親が子どもに伝えるのは、とても勇気のいることではありませんか。それを実践したあるクリスチャンの事例をご紹介します。高校3年生のご長女を筆頭に4人のお子さんを子育て中の杉崎まゆみさんにインタビューしました。上の3人のお子さんはすでに受洗しています。

 

上の二人のお子さんが小さいときにお母さんが性教育をされたそうですね。早い時期に伝えようと思ったきっかけは何ですか。

-上の女の子は小学校3年生、長男は1年生でした。友達などから誤った興味本位の情報を先に得てしまうと聖書的な考えが伝わらないかもしれないと心配し、クリスチャンで看護士をしている友達と相談して伝えることにしました。小さいうちだったので覚えているかどうかわからないし、どこまで理解できるかはわかりませんでしたが、とにかくやらなければという思いでした。

 

他のお子さんもいらしたのですね?

-はい。その友人のお子さんたちは女の子でしたが、男の子も女の子も一緒に教えました。

 

どんな方法で行ったのですか。

-3冊の本を使いました。1冊目は聖書、2冊目は『赤ちゃんはどうしてできるの?』(チリッレール・ムッレール、アーニ出版)という子ども向けの性教育用の絵本、これには解説図がついていて、それを見れば仕組みがわかるような本です。3冊目は、『赤ちゃんの誕生』(ニコル・ティラー、あすなろ書房)という写真集です。

神様が男性と女性に造られたということを創世記から話し、性交渉がゆるされるのは夫婦だけ、ということをわかりやすく伝えました。どうして神様が男性と女性に造られたか、また、なぜ結婚していない男女が性交渉をしてはいけないのかも聖書から話しました。とくに1年生の男の子には、男性のあばら骨から造られた女性を下に見るような行為はいけないこと、男の子は女の子を大事にしてあげないといけないのよ、と話しました。次に、性交渉とはどういうものかを絵本を見ながら、詳しく説明しました。子どもたちは、お父さんとお母さんもそうなの?と驚いているようでしたが、決していやらしいことではなく、夫婦だけにゆるされた愛情表現としてとても大事なことなのだと伝えました。

 

上の子の反応はどうでしたか?

-実はすでにお友達から情報が入っていたようです。最初はお父さんとお母さんも!とびっくりしたようでした。でも、神様がそれを喜んでくださっているのはうれしいと言っていましたね。いやらしいことではないということがわかったようでした。下の子は、その時はまだよくわかっていないようでした。後になって、あのとき言っていたことがわかったよと言っていました。大きくなって家族でその話題が出たときに彼もいやらしいものとはとらえていないことがわかり、あのとき話したのはむだではなかったと思いました。

 

小学校では高学年になって性教育の時間がありますが、それよりも前に行う必要がありますね。

-そう思います。最近は女の子の生理や、体の発達も昔とくらべてはやいので、早めに話してあげることが大切と思います。また女の子は受け身なので、自分で守ろうと思えば守れるかも知れませんが、男の子は加害者になる可能性もあるので、やはり早めに伝えることは必要と思います。

 

現在そのお二人はどちらも高校生ですよね。今の彼らにどんな影響があると思いますか。

-いろいろ友達から聞いているようですが、自分で情報を判断しているようです。

友達がおもしろおかしく話していても、根底がはっきりしているので、流されることがありません。友達には、考えが古いと言われることもあるようだけれど、自分の考えをしっかりもっていて否定できるようです。男の子の方は、やはり興味があるらしく、学校で聞いてきた話をいろいろ聞かせてくれます。

高校生の娘のクラスでは、友人の中絶のカンパが回ってきたこともあるようです。つきあっている男の子が体を求めてくるのをどうしようか悩む友達に、やめなよとアドバイスしたことも。経験している友達の方が多いようで、娘のような子は話を聞いていると稀です。やはり好きな人ができたときに守るのは大変なようですね。娘もその中にさらされているので、流されてしまわないように祈らされます。

 

家族でそうした話がオープンにできるのですね。

-そうですね。うちはとてもオープンです。それも小さいときに親から話したことが生かされていると思っています。下の子たちには上の二人のようには話していませんが、上の二人がざっくばらんに話してくれたので、そこから知ったようです。赤ちゃんができる仕組みについては本を読ませました。食卓の会話などでも出ますが、周りから聞く間違った受け取り方はしていないようです。

 

性教育をしたのはお母さんですね。お父さんとの関係はどうですか。

-どうも父親ははずかしいようであまり話しませんね。でも、男の子ならではの悩みは私ではわからないので父親に聞くように言ってあります。悩みを相談したこともあるようです。もちろん男の子ですので、いろいろのぞいてみたい興味も持っていますし、それは正常なことだと思います。思春期の感情の激しい時期にコントロールするのは大変だと思います。あるときパソコンで映像をのぞいた履歴が残っていたので私にわかってしまい、頭をかいていました。おそらく、同性としての父親の助けはこれから大きいと思います。

今日は本当にありがとうございました。

(2006年no.35掲載)

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