現在の子どもたちはテレビだけではなく、DSやスマホ、パソコンと言った様々なITに囲まれて育っています。ゲームやインターネットのサイトには暴力描写の激しい危険な内容の物や、性描写の過激な物もあります。また、中毒になるほどゲームやスマホが手放せなくなるお子さんもいます。
そのような悪影響を考え、教会や学校で携帯、スマホ、ゲーム機の持ち込みを禁止するところもあるかと思います。それはとても大切なことであり、子どもたちがそのようなITから離れる時間を持つことで、目の前に広がる現実の世界と触れ合うことができます。しかし、そのように影響力があり子どもたちが引かれているメディアを、教会学校やキリスト教教育で活用するのも一案です。どのように利用したらよいものか、私自身も模索中ですが、今回子どもたちに聖書を語るのに役立ったアプリをご紹介します。アプリというのはスマホ(スマートフォン)やタブレットにダウンロードして利用するものです。私はipad miniにダウンロードしてそのままその画面を子どもたちに見せたり、プロジェクターにつないで大きな画面で見せたりしています。音もスピーカーにつないで大きくすることができるので、広い会堂で利用する際など、便利です。
Bible for kidsとよばれるそのアプリには、聖書のお話が絵本のように収録されています。現在日本語版は開発中で、入手できるのは英語版ですが、無料です(編集注・日本語版は2015年に完成しました)。簡潔に聖書のお話がまとめてあり、難しい言葉を使っていないので英語でも読みやすいです。本をめくるように話を読み進めることができますし、音声が収録されているので本を読みあげてもくれます。また、タッチパネルで反応するので、お話に出てくる絵を触ると動物が鳴いたり、登場人物が動いたりします。それぞれのお話の中でクイズも数回出てきます。それに答えることでお話をしっかり聞いていたか確認することができます。また、お話の中で突然光るダイヤが出てくることがあり、これを触るとなんと神の武具や御霊の実を集めることができるのです。このアプリはこどもたちに聖書の話を飽きることなく読み続けさせる工夫がなされており、英語が読めるお子さんにとっては今すぐにでも役立つでしょう。早く日本語版が出ることを期待しています。
私はこのアプリを利用して、教会学校の子どもたちだけでなく、保育園の英会話の授業でも聖書を教えています。絵本を読み聞かせる時のように、子どもたちに画面を見せながら、私がタブレットを持ってお話をします。このアプリは本文の朗読の音を消したり、触ったときに出る効果音を消したりといった設定ができるので、私は本文の音を消し、効果音だけは出るようにしておきます。画面に出る文は英語ですが、大抵のお子さんたちは気にしません。お話をしながら絵を動かすと子どもたちの目はもう釘付けです。触ると音が出るので盛り上がります。飛び出す絵本や音のなる本もありますが、このアプリのように途中でクイズが出てきたり、イエス様に癒された人が飛び上がって歩いたりする本はなかなかありません。
現代の子どもたちは3Dの映画を見たり、スマホでゲームをしたりと、視覚的刺激の強い映像を見ています。聖書の話を印象深く語ろうとするとき、その登場人物を演じたり、ペープサートや指人形を駆使したりと工夫を凝らすと、刺激的な映像を見慣れた子どもたちの目を引きます。それはとても素晴らしいことで子どもたちの記憶に深くそのお話が刻まれると思います。しかし、そのような準備が時間的に難しい時、また場所や道具に制限がある時、このアプリが役立ちます。お話を語りながら絵を動かし、子どもたちと一緒にクイズに答えていくと、子どもたちは目をキラキラさせてお話に聞き入ってくれます。
また、このアプリのことを保護者の方にもご紹介しておくと、ご自宅に帰ってからも同じ聖書のお話をしてもらうことができます。教会や教室では触れなかった(触らせてもらえなかった)タブレットやスマホを操作して、自分でそのお話を読み進める時、子どもたちはそのお話をより印象的に受け止めるでしょう。ご家族でそのお話について語る時も与えられるかもしれません。
新たなメディアであるタブレットやスマホは、危険性も大いにありますので注意深く使いたいものです。ですが、上手に利用すれば子どもたちの注意を引き、大切な聖書の教えを彼らの心と記憶に刻むのに役立ちます。私たち大人はその力を恐れず、しっかりと利用して今の世代の子どもたちに福音を伝えていきたいものです。
(2015年2月)