松原湖バイブルキャンプというキャンプ場の名前を耳にされたことがあるでしょうか。長野県南佐久郡小海町という、長野県でも山梨県に近い八ヶ岳の麓にあるキャンプ場です。1951年にTEAMのジョン・R・ショーン宣教師が松原湖の地を訪れ、この場所でのキャンプ宣教のビジョンが与えられて以来今日まで、継続してキャンプ宣教が行われています。
「松原湖バイブルキャンプは諸教会を建て上げ、諸教会と協力するためにある。」ショーン先生は、松原湖バイブルキャンプが諸教会と分離して競争心を持って宣教するのではなく、諸教会に心から仕えることが願いであるとキャンプの存在の意味を残してくださいました。松原湖バイブルキャンプは、諸教会にとっての助けとなることができるよう、今現在も活動を続けています。感謝なことにキャンプの歩みも61年目を終えようとしています。2012年夏も多くの方々がこの地に集い、神様との素晴しい交わりの中に置かれました。

1.キャンプという特別な環境
キャンプでの日々は参加者にとって特別です。いつも生活している環境とは全く違う環境におかれます。自然の中で、家族から離れ、テレビもなく、携帯電話もなく、ゲーム機もなく、宿題も忘れて、神様との交わりに集中できる環境です。一日の生活は、朝起きて聖書を開き、仲間たちと祈り、朝食を食べ、思い切り自然の中で遊び、夕食後にはメッセンジャーを通して語られる御言葉に耳を傾け、仲間たちと御言葉を分かち合い、ともに祈り、一日を終えていきます。キャンプの生活はとてもシンプルです。もちろんプログラムは良く考えられ、緻密な準備がなされ進んでいくのですが、参加者はゆったりと与えられた自然の中で、神様を感じ、神様を信じる仲間たちとともに助け合い、励まし合い、生活するのです。キャンプに来て、いつもの生活から切り離され、神様と向き合うプログラムに置かれた参加者たちは、ここで神様と自分自身との関係を問われ、考えさせられます。その中で、キャンプだけではなく、毎週日曜日に教会で聞いてきた御言葉が、教会学校の先生方の導きがよみがえってくるのです。そしてキャンプの終わりに決心を迫られたときに、それぞれが神様への応答として様々な決心をしていくのです。

2.キャンプでの決心
日常の教会生活だけではなかなか何かを決心するというきっかけがありませんが、毎週語られる御言葉を聞くことによってそれぞれは確実に養われています。だからこそ、キャンプにおいて背中を軽く押してもらうだけで決心へと導かれるのです。キャンプでの決心は教会で学んできたことの結果です。多くの参加者は教会での積み重ねがあるからこそ、決心していくのです。近年、松原湖バイブルキャンプに参加してくださる方々の多くは、すでに教会との関わりを持っていらっしゃいます。全くの未信者で友達に誘われたから来てみたという方は、少なくなってきています。今年の夏の全期間を通して見ても、未信者の方で教会との関わりなく参加してくださる方は10名にも満たないでしょう。最近の参加者の傾向を見ますと、小学生から高校生までは、特に牧師家庭の子どもやクリスチャン家庭の子どもが多くなってきています。親から子へと信仰を継承していかなければなりませんが、クリスチャンの家庭に生まれたからといって全ての子どもが素直に神様を受け入れるわけではありません。クリスチャンの家庭に生まれたことは大きな恵みですが、それぞれがどこかでしっかりと信仰を自分のものとして受け入れていかなければなりません。親の信仰が、何の抵抗もなく子どもの信仰になっていくことは稀なことでしょう。子どもにしても御言葉を聞き、神様と向き合って信じる決断をしなければならないのです。キャンプは、この決断を迫る所として有効と言えるでしょう。教会生活の中や、家庭において決断を迫られる時は、牧師や、教会学校の先生、親などと一対一でのやり取りがなされているのではないでしょうか。キャンプにおいては、メッセンジャーがキャンプに集っている会衆全員に向けて決断を迫ります。一対一のプレッシャーのない中で、それぞれが自分の判断で決断し決心します。だからこそ言い訳ができない自分の決心になるのです。「誰かに熱心に勧められたから、ノーとは言えず決心した」というように、誰かの思いで決心しても、それは本当の決心とは言えないのです。

3.トレーニングプログラム
こうしてキャンプで神様に仕えたいと献身の決心をした方々に向けて、松原湖バイブルキャンプでは春にスタッフトレーニングキャンプ、夏にインターンシップというプログラムを行っています。春には、中学を卒業して新しく高校生になる年代の方から、社会人として教会で奉仕されている方、神学生など、様々な年齢の方々が集い、神様への奉仕について御言葉から学び、各分野に分かれて学びつつ、実際に奉仕をしていただいています。このキャンプによって集った方々自身の成長を促し、次世代のキャンプ奉仕者の発掘と育成を行っています。もちろんこの学びは教会奉仕においても有効なものですから、ここで学んだことがキャンプ奉仕のためだけでなく、教会生活の中で実践され、教会を支える力となっています。夏のインターンシップは高校生から大人まで、夏のキャンプの中で、実際に奉仕を進めながら学んでいくプログラムです。キャンプ場の掃除や食事作りを中心にキャンプの土台となる奉仕を進めながら7課に渡る学びを行い、参加者を御言葉と実践の両面によって育てていきます。これによって若者たちは、神様に対する奉仕の意味を知り、実際に奉仕をしていく中で奉仕の喜びを知ります。特に印象的なことは、キャンプの最後の夜のキャンプファイヤーでの参加者の証しを聞くことです。自分たちの奉仕したキャンプを通して救われていく参加者の証しを聞き、自分も将来キャンプで、教会で奉仕をしたいという証しを聞けることは本当に嬉しいことです。自分たちの奉仕が参加者のあの証し、あの決心につながっているんだということを確認させていただいて、それぞれが喜んでキャンプを支え、教会を支える奉仕者へと整えられていきます。このようにして若い時からキャンプで奉仕に携わってくださった方々は、キャンプ奉仕の中でともに神様に仕える仲間が与えられ、お互いに励まし合いながら、与えられた環境の中でクリスチャンとしての証しをし、実践しています。そしてさらに、神様に直接献身へと召し出されて多くの方が牧師、宣教師として活躍されています。

どうぞ松原湖バイブルキャンプをはじめ、日本各地にあるクリスチャンキャンプ場のプログラムにぜひ教会の若者を送り出してくださり、育成のためにお用いください。

(2013年2月発行No.43掲載)

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