ユースの信仰成長を考えた場合、信仰を成長させる要因となるものは何だろうか。また、信仰をつまずかせる又は停滞させる原因があるとしたら、どんなものだろうか。
信仰成長の要因
1.ニーズにあったチャレンジングなメッセージ
メッセージがニーズに合っているか、いないか、どうやって判断することができるのだろうか。知的なレベルが合っているだけでなく、具体的でストレートに心に飛び込んでくるメッセージが大きな役割を果たすだろう。また、はっきりとした適用も必要である。ユースに共感することも大切であるが、すべてを受け止めて新しいチャレンジが何もなかったとしたら、物足りないメッセージになってしまう。ニーズに合って、共感でき、なおかつチャレンジングなメッセージが心に響く時、未知の信仰の領域に足を踏み入れる一歩になる。
2.信仰をシェアできる仲間
デボーションを通して信仰が成長できるのは確かである。でも、ユースにとって、周りに同じユース世代のクリスチャンがいなかったらどんなにさびしいだろうか。小学生までは、親や教師など、大人のリーダーの果たす役割は大きい。けれども、ユース世代にとっては、同じユース世代の同じ信仰をもつ仲間から、より大きな刺激を受ける。その影響力は、大人では代わることができないほどである。証を分かち合い、共に祈り合うことによって、ユースの信仰が強められる。
3.継続的に参加できる活動
バンドや教会学校の奉仕などに参加して、信仰が成長することはよく見られる。といっても、強制された奉仕、または余りにも簡単な、その場のお手伝い的なことであったら、ユースの成長にとっては、あまり意味を持たない。逆に、余りにも要求が大きすぎて、つらすぎてしまう場合も、長続きしない。ダンスやミュージカルを取り入れている教会もあるが、何かの活動が技術的に向上するというだけでなく、その活動を通し、祈ることを学び、助け合うことを学び、仕えることを学び、ベストを尽くすことを学ぶなら、信仰の成長に結びつくだろう。
4.目標となる人
リーダーである場合もあるが、必ずしもリーダー・教師でなくても、信仰的に少し先輩の人、といっても数十年も上というのでなく、少し上であまりかけ離れていない人が望ましい。若いクリスチャンの数はあまり多くないが、できるだけ同性で、理解してもらえる人、上から目線でなく、相談しやすい人がいると大きな励ましを受けるだろう。脱線しかかった時に、ぴしっと指摘してくれるような人であったら、最高である。また、他教会で同じ世代のユースが生き生きと活発に活動しているのを見て、大きな励まし、目標になることも多い。
5.信仰の試練
受験、いじめや仲間はずれなど人間関係のトラブル、また、病気などの試練を通して、真剣に祈りをするようになるユースのメンバーも多い。お財布がなくなって、祈ったら見つかった、など、小さな試練の中の祈りを通して、祈りに応えてくださる神を体験し、信仰が引き上げられることもある。
6.信仰の習慣
決まった時間に祈る習慣、毎週礼拝で奉仕をする習慣、時間を決めてデボーションをする習慣など、信仰が生活化して習慣になっていくことによって、信仰が成長する。とりなしの祈り、献金、奉仕など、一つ一つは小さくても、よい習慣の実が結ばれていくように祈りたい。
7.新しい視野
ミッションツアー、短期留学などで外国に行って、新しい視野が広がり、ライフワークに導かれることもある。また、いじめなどで自信を失っていたユースが、開発途上国で自分の恵まれた境遇に気づき、途上国の子どもたちのために立ち上がるケースもある。快適でいられるゾーンを離れることによって、新しい視野が広がり、目的を見つけ、成長に結びつくケースは多い。
信仰のつまずき・停滞の要因
1.男女の失敗
男女が近くなりすぎることによって、傷ついて教会を離れたり、罪を犯してしまったりすることがあるのは、現実である。信仰の仲間は必要であるが、兄弟姉妹としてのきよい交わり、グループみんなでの交わりを保つように祈り、男女の1対1の交際に深くはまってしまわないように注意していく必要がある。
2.親のネガティブな態度
信仰をもつ親が信仰を強制し過ぎたり、干渉し過ぎたりする時、反抗して信仰から離れることがある。また、目先のもので誘う(例。教会に出席すると小遣いを渡す)のも逆効果になりかねない。子どもの信仰を信仰以外のもので操ろうとすると、親と親の信仰に反発を感じて、信仰から離れてしまう危険性もある。
3.この世の活動への参加
ユース世代には、魅力的な活動が数多い。部活はもちろんのこと、スポーツの試合、ゲーム、ショッピング、友だちとのおしゃべり、などである。その他、塾の講習、補習、習い事、バイト、学校の委員会活動、クラスの活動など、限りがない。全く活動に参加しないわけにはいかないが、活動自体は悪くなくても、この世の活動が優先になってしまうと、教会で過ごす時間が退屈に無意味に見えて、教会に来なくなることが多い。「中高生になって、教会から離れる」とよく言われるが、前もって祈り、対策を考えておきたい。あきらめないで祈り続け、コンタクトを持ち続けることである。
チャレンジのないマンネリ化した教会プログラム
ユースをお客さんのように考え、単に出席してすわっているだけでいいとする扱いをすると、より魅力的な活動のある部活や、友だちづきあいと比べて、魅力もなく、興味も失われやすい。ついこの間まで参加していたとしても、離れてしまうのは、あっという間である。ユースが主体となれる活動、ユースにチャレンジを与えるメッセージ、ユースを巻き込んだ奉仕など、学校よりも生き生きとしている教会のプログラムが備えられるよう祈りたい。
4.反宗教的な学問と信仰に対する疑い
授業で当たり前のように進化論、相対主義、多元主義などに触れたりすると、知的にキリスト教に疑いをいだいたり、また確信が弱まったりすることもある。形式的な外側だけの信仰生活を保ちながらも、心が神を離れていくこともありえる。確信を失って、クリスチャンであることを隠すようにもなりやすい。「ただ信じよう」と言うだけでなく、知的理論的に信仰の基礎を学んでいくことも必要である。
ユースの世代に信仰から離れる者もいるが、ユースの世代に献身を決意する人が多いのも事実である。ユースの世代の信仰が成長し、深められるように、祈り続けたい。
(2010年2月発行No.39掲載)