イエス様の公生涯の大半は、12人の弟子を育てることに費やされました。また、復活されたイエス様は弟子たちに「あなたがたは行って、あらゆる国の人々を弟子としなさい。そして、父、子、聖霊の御名によってバプテスマを授け、また、わたしがあなたがたに命じておいたすべてのことを守るように、彼らを教えなさい」(マタイ28:19,20)と命じられました。このことからしてもイエス様の方向性は弟子化にあることがわかります。上記の「あらゆる人々」に子どもも含まれるのは勿論のことでしょう。
教会教育の対象者は、「あらゆる人々」であり、大人から子どもまでですが、この文章の例として子どもをとりあげます。
1.行って(関係づくり)
弟子化の具体的な内容は、まず「行く」ことです。イエス様は自分から出て行って関係をつくりました。
日本人に福音を伝えていくとき、信頼関係ができていないと福音が入っていきません。だから大切にすべきことは、まず伝道ではなく「関係づくり」です。では、だれと関係をつくればよいのでしょう?「おかしな質問だなぁー。子どもに伝道するのに信頼関係づくりの対象は子どもに決まっているじゃないか」と思われることでしょう。その通り、子どもが救われるためには、このことは不可欠です。しかし、子どもがたとえ信仰を持っても、主権者である親の理解がなければ、早晩子どもは教会から去ってしまいます。だから、子ども伝道の鍵を握るのは親であり、親との信頼関係確立がポイントなのです。
ある教師が、教会学校に来てくれた子どもの家庭を訪問しました。それをきっかけに教師とお母さんとの交わりが始まり、苦難の中にあり、相談相手のいなかったお母さんは、教師と教会を信頼してくれるようになりました。子どもが病気になり、入院したとき、車の運転のできないお母さんを教会員が交替で病院まで送迎しました。こんなことが用いられ、まずお母さんが救われ、続いて二人の子どもも次々に受洗しました。小学生だった子どもたちは今では大学、高校生となり、熱心に教会に仕えています(勿論お母さんも)。
当教会では、幼稚園入園前の子どもたちを持つお母さんたちを持つお母さんたち対象のプログラムとして文庫活動を11年前から行なっています。親子で楽しい運動や、手遊びなどの時を持ち、絵本の読み聞かせや、紙芝居、スタッフによる育児のワンポイントアドバイスなども行います。また、個別に悩みの相談にも応じています。
これが小さい子を持つゆえ、自分の時間もなかなか持てず、何かとストレスの溜まっているこの年代のお母さんたちに受け、参加者が2、30人も与えられました。
文庫を通して接点が与えられた子どもたちと、教会員子弟の教育のために、幼稚園を開設したのが5年前のことです。
親の理解と応援があるため、教会学校の子どもたちの出席は大幅に増えています。
その他、子どもたちとの接点づくりとしてヒップホップダンス、ゴスペル教室、ソフトボールなどを行なっています。特に、ヒップホップダンスの人気は高く、キャンセル待ちの状況にあります。
2.バプテスマを授けること
関係づくりをした上で、福音を伝え、明確な救いに導くことです。
私たちの教会も夏のキャンプで多くの子どもたちを集めながら、あまり成果を得ることがなく、ただの楽しいだけのキャンプを長い間続けていました。「これではいけない。何とかしなければ」と思っていたとき、祝されたキャンプをしている教会の噂を聞き、キャンプに参加させていただきました。
その教会の子どもキャンプの特徴は三つでした。まず日中は思う存分子どもたちと教師が遊んで、子どもたちの心が開くように努め、午後に夕寝の時間をとり、夜の集会、特にメッセージの時眠らないようにします。さらにメッセージ後に教師が個別にカウンセリングの時を持ち、イエス様に導く、というものでした。
早速、当教会でも採り入れ、以降、夏のキャンプで決心し、クリスマスに洗礼を受ける子どもたちが多数与えられています。
明確な救いに導くためには、基本教理の理解が不可欠です。キャンプで信仰を持った子どもたちの受洗の学びのためのテキストを探しましたが、適当なものが見当たらなかったため、自作のテキストを作りました。子どもたちの解りやすい受洗用テキストの必要性は、多くの教会、教師たちにもあるのでは、ということで、私が責任を持っている教団の教会教育部のスタッフたちと「かがやけ☆クリスチャンキッズ」というテキストを作りました。解りやすい、楽しい、使いやすい、手頃な価格、との評価をいただき感謝しています。
3.守るように教える
聖書を教えるだけでなく、救われた者が生活のあらゆる領域で、みことばに生き、みことばを行えるように助けることです。
こうしたことは、まず大人が行なわなければ子どもたちに入っていきません。私たちは教会挙げてこのことに取り組んでいます。
具体的には、教会員のほとんどが「幸いな人」というディボーション用の雑誌を毎月購入し、日々ディボーションに励んでいます。セルと呼ばれる小グループに教会員全員が所属しており、この集いでディボーションの分かち合いは欠かせない大切な要素となっています。さらに、分かち合いの中で、これは是非多くの人に知ってもらいたいと思うものは、礼拝のメッセージ前に証しをしてもらっています。礼拝には、子どもたち(生まれたばかりの乳飲み子から)も出席しており、礼拝の証しを聞いて育っていますし、クリスチャンホームなら、多くの場合、親が率先してディボーションに取り組み、よき見本を示してくれています。
子ども用の手頃なディボーションテキストがないため、教師たちが毎週作成しています。主日毎にテキストのチェックと分かち合いを教会学校の分級の時間に行い、みことばの実践を励ましています。
小学科から中学科に進級できず、多くの子どもたちがいなくなってしまう傾向が続いていました。どうしたら、これに歯止めをかけることができるのかが長い間の懸案でした。
ある教会学校セミナーで講師が、教会塾が用いられていると証ししてくれました。早速研修に行き、奉仕者を募り、教会に導入しました。中1~高3まで、一般の塾が使っているテキストを使用、週二回、中間、期末試験前は週三回、午後7時から10時まで、月謝5千円です。奉仕者は、現、元教師や社会人、大学生たちです。塾を行うようになってからは、脱落者があまり出なくなりました。
その上、塾の中で、30分のチャペルタイムを持ち、これによって継続的、霊的学びを行なっています。教会塾に参加している子どもたちは、塾の日ばかりでなく、他の教会プログラム(ダンス、楽器の練習など)、奉仕、主日礼拝などを入れると週に3~5回は教会に集っており、教会への帰属意識が強められています。
(2008年2月1日発行、No.37掲載)