このゴールデンウイークに、私たちは体験学習を取り入れた小学生キャンプを持ちました。テーマは「十字架」として、子どもたちが頭だけで理解するのではなく、体全体で理解できるように準備しました。体験学習を取り入れた理由は、お話だけでは最大でも10%も記憶に残らないのに、劇などの参加型の体験をすると90%も記憶に残るという理由でした。

 

キャンプの目的

  • キャンプ全体を通して、なるべく朝昼晩と集会とメッセージが続くキャンプでなく、子どもが一生忘れないようなすばらしい体験をたくさんできることを目的としました。
  • 参加する子どもたちが、十字架が自分のためであったことを心に刻むことができるように、次の三つの目標を決めました。
  1. 自分の罪は十字架で既に赦されていることを体験する。
  2. イエス様の十字架での痛みを体験する。
  3. 本当は自分が十字架につけられるはずだったことを理解し、主に心から感謝できるようになる。

 

キャンプ前の準備

 今回、教会で建築の仕事をしておられる兄弟にお願いして、木で十字架を作っていただきました。できるだけ本物の大きさを希望しましたが、本物の大きさだと車に乗らないため、組み立て式とし、ドライバー一本で組み立てられるように設計していただきました。十字架そのものは、数時間かかって制作していただきました。体験に使うためには自立する必要があるため、立てられるような台をもお願いしました。また、子どもが手をのばせるように、一回り小さめにお願いしました。実際にできたものは、縦二メートル、横一メートル五十センチほどの大きさでした。厚さは三センチほどだったと思います。

 また、いばらの冠も制作しました。庭でいばらも育てたのですが、実際のとげを見ると思ったほどとげが長くないので、野生のバラでなく、通常のバラを使いました。葉を落として、枝を組み合わせて、ニ重三重にからませて冠を作りました。

 最後にむちを作りました。諸般の事情で、皮のように見えるベルトの先に粘土をつけ、天然のとげとげなどを埋め込みました。先端部の直径は八センチくらいであったと思います。

 

 それとは別にスキットを書いて、中高大生に二週間くらい前に渡し、前もって練習してきてもらいました。これは、私の小学生時代、中高生時代のいくつかの中心的なひとこまをそのまま劇にしたもので、6人で準備してきてもらいました。

 

キャンプのプログラムの流れ

 二泊三日で行ないました。一日目はゲームや賛美の「ウエルカムタイム」で盛り上がりました。夕食の後、ジーザス&チルドレンというビデオを見て、イエス様の生涯の全体を知りました。参加した子どもたちは小学生十五名、中高大生十名、大人十名くらいであったと思います。参加した小学生は地域の子どもたちが多く、クリスチャンホームの子どもは四名ほどでした。中高大生の方は、地域からの参加が三名で、あとはクリスチャンホームの子どもでした。ビデオを見た後、スモールグループに分かれて、感想を聞いたり、お祈りしたいことを聞いたりしました。この時すでにイエスを信じるお祈り・救いを確認するお祈りを希望した子どもが4人いました。

 

 二日目は賛美礼拝のあと、プロジェクトアドベンチャーに参加しました。これは、その施設(高尾の森)のゴールデンウイークスペシャルのプログラムの一環として、希望者(三年生以上)に提供されていましたが、二十メートルほどの高さから、腰紐をつけジャンプするメニュー、十メートルほどの高さのつり橋を渡るメニューなど高度なアスレチックスを用いて作られていました。途中で足が震えて泣き出し、長い時間降りてこれなかった小学生もいましたが、「祈ってゆだねる」「恐れを乗り越える」よい機会となりました。

 

 二日目の午後は、昼食後、グループごとにおかしの家づくりに挑戦しました。牛乳パックにクラッカー、アイシング、きのこの山、ポッキー、生クリーム、ホットケーキなどを自由に用いて、それぞれの夢の教会と庭を造りました。「電車の通っている教会」「ダビデに負けたゴリアテが隠れている庭」などユニークなおかしの家ができました。グループ対抗コンテストのようにしたてたので、グループごとの一体感がかなり強くなりました。

 

 夜には、十字架の体験学習を取り入れました。(くわしくは後述)三日目は、朝のハッピータイムを持ちました。ハッピータイムではゲームをし、好きな賛美ランキングを発表しました。それぞれ1番好きな賛美を歌い、また、手話賛美も教えてもらいました。それから、スモールグループではキャンプの証を書いて、ひとりひとりそれを発表しました。それから普段教会学校に来ている小学生が、黒赤白緑黄色と五色のビーズを使ってつくったブレスレットをプレゼントし、その意味を発表し、続いて教会学校に来てくれるように誘いました。そのあと、施設全体を使って「レプタボーイ&ガールを探せ」ゲームをしました。それから、レプタショップを開いて、キャンプで稼いだレプタでお買い物ができるお買い物タイムも持ちました。本当に一瞬一瞬の体験がすばらしく、今までのキャンプの中でも特に心に残るものでした。

 

十字架の体験タイム

 賛美のあと、中高生がスキットをしました。悪いことをしたり、友だちにいじめられたりした主人公のきららちゃんが、最後にイエス様を信じて変わるというシーンで終わりました。そのあと、主人公のきららちゃんは私のことだったんだ、と短く証メッセージをしました。そして、「みんなもきららちゃんみたいに、やみの子どもではなく、光の子どもにならない?」と質問しました。子どもたちは黒い画用紙にはられたアンケート用紙に、赦してもらいたい罪を丸付け、また書き込みました。カウンセラーの先生も見ないし、私も見ないから、正直に書く様に勧めました。

 

 その隣の部屋には十字架を用意しておきました。子どもたちがアンケートを書き終わったら、「みんなでイスラエルに行こう」といって、隣の部屋に移動しました。そして、一人一人の黒い罪の紙を十字架に貼り付けました。そこでイエス様役の中学生がイバラの冠をかぶって登場しました。そして十字架にかかって、「父よ、彼らをお赦しください。彼らは何をしているのか自分ではわからないからです」とお祈りしました。そのあと、イエス様は、十字架にはられた黒い紙を全部破り捨てて、「私はあなたがたの罪と不法とを決して思い出すことは無い」と宣言をしました。そしてイバラの冠を置いて、退場しました。

 そこでグループごとに「イバラの冠をかぶってみよう」「むちをさわってみよう」と体験しました。最後に、「本当は自分たちがつくはずだった十字架にイエス様がついてくださったことを感謝して、十字架でお祈りしよう。」と招きました。一人一人、静かに十字架について、お祈りしました。それから、スモールグループに移って、「どんなお祈りしたか、教えて」と感想を聞きました。そのスモールグループの中で新たに4人の子どもが主を受け入れるお祈りをしました。中学生は、祈りの内容は「言いたくない」と答えた子どもが多かったです。

 

子どもたちと教師の反応

 最初、教師の中には、「最近父親をなくした子どもも参加するのに、あまり強い刺激を与えてはどうか」と心配する人もいました。けれども結果としては、小学生からは、「赦してもらってスカッとした」「イエス様のことがよくわかった」という感想、中学生からは、「今回のキャンプはリアルで迫ってきた」という感想が聞かれました。

 今回はイエス様役もスキットチームも全員が中高大生で、みんなが自由時間の間に練習しました。円陣を組んで祈って「青春だよね」と言いながらのさわやかな奉仕でした。今まではユースキャンプは別で、ユースがターゲットで恵みを受けるというキャンプの流れだったのですが、子どもキャンプの奉仕者・ヘルパーとして参加しよう、という意識を持ってもらいました。大学生には、礼拝の中での証、グループタイムの間も小学生と一対一で祈るお手伝いをしてもらいました。夜は、スタッフと中高大生の軽い交わりの時を持ちました。本当の交わりは「オールナイト」というトランプ&交わりタイムだったみたいで、三時くらいまで盛り上がっていたようです。

 

終わりに

 私自身もキャンプではいつも同じようなメッセージをしても、手ごたえが薄く、子どもたちも余り変わらない様子なので、失望を味わってきました。スピーカーとしては、最初のメッセージでは救い、二回目はデボーション、三回目は献身のような、ワンパターンのメッセージ、目をつぶって手を挙げてもらうようなワンパターンの招きに、正直疑問を感じてきました。今回二泊三日で、お話中心から体験中心へ、大人中心から子ども中心へと初めて大きくスタイルを変えてみました。準備はかなり大変でしたが、子どもたちの心に永遠に十字架が刻まれるように、祈ってやみません。他のスタッフの意見も聞きながら、機会があったら、また来年も別のテーマで体験型キャンプにチャレンジしたいと思います。

子どもたちの信仰が先生や親に依存した信仰ではなく、主の前に自立した信仰となるように、心から祈っています。

 

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