先号の特集「チャレンジ・ザ・子ども伝道」を読ませていただき、多くの先生方が祈りをこめて、主のために色々なアイディアを持ち寄り、奉仕されていることを拝見し、多くの励ましを与えられました。過去を振り返ると、本当に多くの失敗の連続でしたが、新たに心燃やされ、「子ども伝道」への情熱を与えられました。
その時、ふと示されたのは、「子ども伝道失敗記」と言うテーマで過去の失敗を書き残してはどうか、ということでした。今年も日本人のノーベル賞受賞者が発表されましたが、すべての研究は過去の研究の失敗の上になりたっています。私の失敗が「聖書の光」読者の先生方にほんの少しでもお役に立つとしたら、忘れたくて心のすみっこに押し込まれていた「失敗」も神様の栄光のために用いられるかもしれない…そういう願いをこめて、第一回目の今日は、ちらし配りについて書いてみたいと思います。
町田に遣わされて最初の子どもクリスマス会の直前、私たちは近くの2つの小学校(生徒数約450人と550人)の前でちらし配りをしました。今から20年前のことです。当時の教会学校の出席は10人くらい。信仰を持って、1000枚近くのちらしを持って、登校前に配りました。初めてということで、また20年前ということで、子どもたちにとっても新鮮だったのか、比較的喜んで受け取ってもらえたのが印象的でした。
何人位来てくれるか、信仰を持って100個近くのプレゼントを用意しました。ところが、もの珍しさもあってか、100人以上の子どもたちが参加してくれて、プレゼントが14個くらい足りなくなってしまったのです。プレゼントがないよというわけにはいかない、というわけで、私はゲームの最中に抜け出し、何かをかき集めに走り、メッセージの間に、別の人が幼児プレゼントを袋につめて…と数合わせに追われ、初めて参加してくれた子どもとのコミュニケーションはおろか、どんなプログラムだったかも忘れるようなほろ苦い集会になってしまいました。
そこで教えられたのは、イベントの前に急にちらしをたくさん配るより、コンスタントに少しずつ配ること。現在では、学校帰りの子どもたちに1週間に50枚を目安に、教会から歩いて20分以内の小学校六校で順番に配るようにしています。
細かく言えば、最初は朝登校前に配っていました。確かに効率はずっといいのです。でも、子どもが「ちらしがゴミ箱に山のように捨てられていた」と教えてくれました。それで学校のご迷惑になってもいけないと下校時にしたわけですが、学年によって下校時刻が違う。それで、比較的一斉下校が多い職員会議のある水曜日の放課後に配ることが多くあります。
ちらしを受け取った子どもが目の前で飛行機を折り出してがっかりしたこともあります。それで捨てられないような価値を付けようと「プレゼント交換券」を付けたり、パズルを載せて「正解者には30デナリプレゼント」としたこともありました。すると、賢い子は、行かない子の分をたくさん集めて「ちょうだい!」と持ってくるのです。「1人1個」と言いながら、反応があるのでうれしくなります。
子どもたちがちらしに慣れて、あまり受け取ってくれなくなった頃、「着ぐるみ」作戦をやってみることにしました。すると、たくさん集まって来てくれて、しっぽを引っ張ったり、頭を取ろうとしたり、キックやパンチを浴びせてきたり、すごく楽しく遊んでいました。でも、ちらしの受け取りには余りプラスにはなりませんでした。中に入ってくれたスタッフが汗をじっとりかいて、「暑すぎ!小学生がバンバンたたいてくるけど、目も見えないし、やり返せない。もう、やだ」と心底ばてていました。
「校長先生の許可を取っているんですか」と詰め寄られる保護者の方にもお会いしました。「学校から10m以上離れたら許可はいらない」「宣伝の自由は法律で守られている」と教えていただき、校門から少し離れた場所で配るようにしています。特に男性の場合「すわ、変質者?」と間違われてもいけないので、男性は女性とペアで配っていただくようにしています。
ちらし活用の最高例として思い出すのは、森ゆりさんを招いてコンサートを開いた時でした。当時私は、自治会の班長をしていて、歳末助け合い運動への寄付を1班(20軒)全軒を回ってお願いしなければなりませんでした。そこで集金に伺いましたが、皆さんが「ご苦労様です」とすまなそうにおっしゃるのです。それで、知恵を与えられて、「個人的なことですが、クリスマスの親子コンサートが…」とコンサートのちらしをお持ちした所、「まあ、わざわざすみません」と感謝されたのです。そして20軒のお宅(教会に来られたことのない方々)で合わせて9名の方々が参加してくださいました。やっぱり、顔を合わせてお誘いするとこんなに違うのか、と驚かされました。(ちらしのために班長を続けるわけにはいかず、最初で最後でした。)
ちらしをほぼ確実に受け取ってもらえるベスト2は、入学式の始まる前です。「サッカー」「野球」「新体操」などたくさんの習い事お誘いの方々が校門前に列をなすので、堂々と校門前で配れます。この時は、婦人の方々にお願いして、今年は五校に分かれて配りました。
ベスト3は、夏休みに水遊びに来ている水遊びスポットのある公園です。水遊びをされているご家族に「幼児・小学生のための体験教室で~す!」とちらしをお渡しすると、ほとんど全員の方々が受け取ってくださいます。お母さん方に読んでいただけるトラクトをはさむなど工夫しています。すぐに反響はなくても、いつか教会に足を運んでくださることを祈りつつ。
ちらし配りは、たくさんの失敗を経験しましたが、今でも私のライフワークの1つ、またウォーキングの友として、地味に続けています。全国の先生方、失敗を楽しみましょう!
(2011年聖書の光164号より転載)