子どもたちの礼拝出席、教会学校出席は、最近ますます多様化する傾向にあります。以前は、日曜日の9時前後から始まる教会学校と10時半前後から始まる礼拝が、プロテスタントのキリスト教会のスタンダードとなっていました。教会学校といっても、多くの場合は、子ども向けのプログラムであり、子ども向けの礼拝と年齢別の聖書の学び(分級)とに分かれていました。
ところが、少子化に伴って、教会学校に出席する子どもたちの人数が減り、教会学校を継続的に開くことのできない教会が増えるにつれて、子どもミニストリーに対する考え方にも変化が見られるようになりました。大きく分けて、以下のように5つのタイプに分けられるように思います。

①子どもプログラム及び成人を中心とする礼拝
子どもプログラムは、従来のような伝統的な教会学校(子ども礼拝と分級)というケースと、遊びやゲームを取り入れた現代的なプログラムというケースがあるでしょう。どちらにしても、基本的には、子ども対象と大人対象と2つのプログラムを別々にもっていると言えます。子どもたちは、基本的に子どもプログラム(教会学校)だけに参加しますが、クリスチャンホームの子どもは、年齢が上がるにつれて、礼拝にも出席するように勧められ、両方に参加する子どもたちもいます。礼拝は、基本的には成人を中心に考えられています。この場合、子ども向けプログラムの奉仕者以外は、ほとんど子どもと接することがなく、子ども向けプログラムが一部の奉仕者だけによって支えられているものとなりやすいことが課題でしょう。

②子どもから成人までの聖書の学び及び合同礼拝
年齢ごとの分級を子どもだけに限定しないで、成人も含めて幅広い年代ごとの分級を持ち、そのあと子どもから成人まで共に礼拝をささげるという教会も最近増えてきています。神の家族が共に一つの礼拝を献げるという理念を重要視しているわけです。この場合、礼拝の時間が1時間~1時間半と長くなり、基本的に子どもたちも大人と同じ内容のメッセージを聞くことになります。それで、地域の子どもたちにとっては、出席することが難しくなる傾向があります。そのため、土曜日など別の時間帯に、地域の子どもたち向けのプログラムが開かれるケースが多いようです。また、年少の子どもたちにとっては、礼拝の間、落ち着いてすわっていること、親にとっては子どもを落ち着かせることが課題になることもあります。

③短い子どもプログラムを含む礼拝
礼拝の中に短い子どもプログラムを含んでいる場合があります。子どもの讃美歌を1曲歌ったり、短い子ども向けメッセージがあったり、子どもたちのための祝福の祈り、暗唱聖句や教理問答をしたりする場合もあります。そして、礼拝メッセージが始まる前に、子どもたちは別室に移動して、そこで遊んだり、子どもプログラムに参加したりします。礼拝の最後にもう一度礼拝に戻って、牧師から祝祷を受けることが多いようです。この場合の課題は、子どもプログラムの担当者が礼拝メッセージを聞けなくなるため、担当者が交代で子どもの奉仕にあたることです。毎週違う担当者が来ると、子どもたちとの深い関係を築くことができないため、キッズプログラムはその場限りになりやすい傾向があります。参加者はクリスチャンホームの子どもたちが中心になります。

④親子中心の礼拝と成人中心の礼拝と並行して同時に持たれる教会学校
規模の大きい教会では、礼拝が2回以上持たれることがあります。多くの場合、親子中心の礼拝と成人中心の礼拝に分かれます。その時に、子どもの奉仕者と家族が親子中心の礼拝に出席し、成人中心の礼拝と同時並行で教会学校(子どもプログラム)が持たれている場合もあります。子どもプログラムは、長時間取れて内容も充実し、地域の子どもたちも出席しやすくなります。また、第一礼拝、第二礼拝の裏で第一教会学校、第二教会学校と2回の子どもプログラムが持たれ、家族が選べるようにしている場合もあります。この場合、子どもの奉仕者が2倍必要になりますが、より多くの家庭のニーズに応えて、より多くの子どもたちに奉仕することができます。出席する家庭にとっては、参加する時間帯や奉仕する時間帯を選べるため、歓迎されるでしょう。けれども、年代ごとにまとまりにくくなって、違う礼拝に出席する家族同志の交わりが疎遠になりやすい欠点もあります。

⑤世代ごとの礼拝と小グループ(セルグループ)
複数牧会を取り入れている教会の場合、幼児・小学生の礼拝、中高生(ユース)礼拝、若者向けの礼拝、成人の礼拝のように、年代別に礼拝を持っている教会があります。そして礼拝の前後、または週日に数人の小グループを持ち、分かち合いをします。幼児や小学生、中高生のグループでは、教師(スタッフ)がリーダーとしてリードします。小グループでは、別に聖書の学びをする場合もありますが、メッセージと祈りの課題の分かち合い、祈り、食事と交わりだけという場合もあります。一か月に1回程度、全年齢の兄弟姉妹が一緒に集まって、合同礼拝を持っている教会もあります。

さて、以上5つのタイプを見てきましたが、どのタイプであったとしても、考えたいことがあります。

*礼拝では、礼典(聖餐と洗礼)が重んじられているのか。牧師が出席して、祝福の祈りを受けることができるのか。(A)
*同年代の交わりがあり、各年代のニーズが満たされているのか。(B)
*参加者は、知識的にも信仰的にも成長できる環境にあるのか。(C)
*ノンクリスチャンへのアウトリーチの機会は与えられているのか。実質的にクリスチャンしか参加できない環境になってはいないか。(D)
*教会全体が神の家族として、世代を超えた交わりが存在するのか。(E)

下の表は、それぞれのタイプの礼拝及び子どもプログラムの特徴をまとめたものです。

さて、タイプ①の教会にとっては、教会全体と子どもたちとの合同の集会が欠けていることがわかります。それを補うには、どうしたらいいでしょうか。たとえば、月に1度のファミリー合同礼拝や年に1度のファミリーキャンプなどによって、それを補うことができるでしょう。愛餐会などで、一緒に食事をするのも助けになります。タイプ②の教会にとっては、友だちを礼拝に誘いにくいことが課題になります。そうすると、土曜日や週日の放課後など、別の機会に地域の子どもたちが参加しやすいプログラムを提供することによって、課題をカバーすることができます。
タイプ③の教会はどうでしょうか。やはり、土曜日や週日の放課後など、地域の子どもたちが参加しやすいプログラムは大きな助けになりそうです。また、礼拝中のショートプログラムだけでなく、時々ロングプログラム、つまりグループごとの聖書の学びなどができるスペシャルを持つようにするといいでしょう。タイプ④の教会にとっては、同年代同志の交わりが助けになります。時間によってすれ違うことが多かったとしても、夏休みや冬休み、春休みなどに夏季学校やキャンプやお泊り会等を持つことができれば、お互いの距離も縮まるでしょう。
タイプ⑤の教会は、規模の大きい教会が多いので、なかなか教会全体で交わりをしたりすることが難しいかもしれません。全体での交わりでなくても、世代を超えてミニストリー(奉仕)を通しての交わり(違う年代が協力して掃除したり、違う年代が一緒にクワイアで歌ったりなど)や、クリスマスに年代を超えて合同でイベントを企画するなど、意識的に年代を超えた交わりを求めていくといいでしょう。

礼拝のささげ方、教会学校の持ち方は、それぞれの教会の歴史や信条、ビジョンやミッションとも深くかかわっていて、簡単に結論を出すことはできません。それぞれが遣わされている教会において、よりよい道を探し求めていきたいものです。

(2013年2月発行No.43掲載)

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